2017年3月29日水曜日

教育機関(高等学校・中学校)における雪山登山

今回,栃木県那須市のスキー場付近で起きた雪崩により,多数の高校生と教員が巻き込まれる,凄惨な事故が起きてしまいました。

私は以前,同じような立場にあり,スポーツ庁から冬山登山の禁止という通達を見たことがあります。それにも関わらず,伝統や慣例,訓練ということで冬山登山を続けている学校が,今も数多くあります。

夏山に比べて冬山のリスクは非常に高く,教育機関が引率するジャンルとして適当ではないのは明白で,積雪期・残雪期についても「雪山」は禁止すべきです。言うまでもありませんが,雪山には「雪崩」「低体温症」「滑落」への対策,「ルートファインディング」「天候の読み」「装備」など,夏山より遥かに難易度が上がります。素人の教員が引率できるレベルを超えています。

少し話は変わりますが,春山・夏山・秋山・冬山といった言葉については定義が不明瞭で,人によって捉え方が異なります。極端な話,エベレストは夏山でも雪があります。私は,「積雪期」「無積雪期」の2種類で統一するべきだと考えます。中学校・高等学校など教育機関における登山は,「無積雪期」に限定するべきだと思います。

また,引率者がエキスパートであったとの報道がありますが,「長谷川恒男」などエキスパートの登山家が何人も雪崩で命を落としています。日本山岳ガイド協会認定のプロガイドでさえ,お客さんが雪崩などで死亡する事故が起きています。雪崩の予測が極めて難しいということは周知の事実のはずです。無積雪期の暴風雨の予測とは次元が違います。

ビーコン・プローブ・ショベルがあれば大丈夫かといえば,そうとも限らず,今回のように2m埋まってしまえば,15分以内の救出は難しいでしょう(15分を過ぎると生存率が著しく低下する)。また,金銭的な面において,一式4万円は下らないこれらの装備を,全ての高校生が持つことは現実的ではありません。そもそも,このような装備を必要とするエリアに,部活動で入る必要があるのでしょうか。

もちろん,積雪期の登山をしたい中高生がいるのであれば,山岳ガイドに依頼する方法や山岳会に入会する方法があります。個人の意思まで禁止することはできません。

このような事故を2度と起こしてはなりません。教育機関はもう一度真剣に考えるべきです。最後になりましたが,今回亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

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